歯科NEWS

2011.10.17更新

日用品各社が中高年をターゲットにしたオーラルケア製品に力を入れている。歯周病や口臭など口腔(こうくう)内のトラブルが気になり出す中高年は、自分の症状に合った高機能製品を求める傾向を強めている。「100億円前後」と試算されるオーラルケア市場は、歯科予防の効果も期待されるだけに、新製品投入や新シリーズ導入でますます膨らみそうだ。

花王は今月1日、40~50代向けの歯周病予防ブランド「ディープクリーン」から、歯の根元がしみるのを防ぐ成分を配合した薬用歯磨き粉を発売した。想定価格は100グラム入りで税込み850円前後と高め。それでも、同社は「500円以上の高価格帯商品はオーラルケア市場全体の4割近くまで成長している」と強気だ。

ライオンは3月下旬、「デンターシステマ」から、極細の毛先で歯と歯茎の間の汚れをかき出す歯ブラシ(毛先に弾力があるタイプで同298円)を発売。毛先の太さは0.02ミリで、通常タイプの約10分の1。同ブランドの歯ブラシの売り上げ(7~9月)は前年同期比で約2割増の人気ぶりだった。一方、汚れを取りにくい歯間に着目し、“隙間”ビジネスで稼ぐ企業も出てきた。

小林製薬は今月19日、ミント味をつけた糸ようじ(30本入り、同525円)を発売する。初年度の売り上げ目標は2億円強と弾く。同社は1987年、欧米で当時主流だったフロスと、日本人がなじみ深い爪楊枝を融合させた糸ようじを開発して以降、歯間ケア製品のラインアップを拡充。年間売上高は23億円まで成長した。

サンスターは9月上旬、「G・U・M(ガム)」ブランドに新シリーズ「ガムアドバンスケア」を導入、弱ってきた歯茎をねらい打ちする。目玉は歯間ブラシにつけて使う歯間ケアジェル(13ミリリットル入り、同399円)だ。政府調査によると、健康意識の高まりで50歳の歯間ケア製品使用率は1993年の17.8%から2009年には45.7%に上昇。同社は「歯間ケア製品は一度使うと、使い続ける人が多い。ジェルの投入で、歯間ブラシやフロスの使用率を高めたい」と意気込んでいる。

オーラルケア製品は予防歯科にも効果があるだけに、市場規模は100億円前後で拡大傾向が続く。歯周病予防から歯の美白まで、口腔内の悩みは多様化しており、市場関係者は「30~40代以降を中心に、単価の高い商品を手にする消費者は増えている」と指摘している。(米沢文)

投稿者: 藤村医院

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