歯科NEWS

2011.11.25更新

 みなさんは喫煙と歯周病に密接な関係があることをご存じですか。

 歯周病は、基本的には歯周病菌の感染や、歯ぎしりや食いしばりなどで歯に強い力がかかることで発症します。放置すると歯を支える歯肉や骨などが侵され、歯がぐらぐらになって抜け落ちてしまう病気です。重度の歯周病になってしまった歯は、歯科で治療しても進行を抑えるだけが精いっぱいで、元の健康な歯には戻りません。

 一般に喫煙者は非喫煙者に比べて3倍も歯周病にかかりやすく、2倍も多く歯を失っているという報告があります。また、1日あたりの喫煙本数に比例して歯周病が重症化することも分かっています。

 喫煙が歯周病を悪化させる理由として《1》たばこのニコチンが歯肉の血管を収縮させ、歯を支える組織に必要な酸素や栄養の供給を減らしてしまう《2》たばこの有害成分により白血球の機能が低下し、歯周病菌に対する歯肉の防御力が落ちる《3》喫煙で生じた活性酸素を除去するためにビタミンCが消費されると、歯肉を修復する細胞の働きが抑えられる―などが挙げられています。

 今では、喫煙が肺がんをはじめとするさまざまながんや心・肺疾患、脳血管障害などの危険因子であることは常識ですが、歯周病にとってもやはり危険因子なのです。

 女性の喫煙者率が全国1位、男性が2位(2010年、日本たばこ産業調べ)と“喫煙大国”である北海道。でも愛煙家のみなさん、今は自分の歯で何でも食べられても、将来までそうである保証はありません。入れ歯のお世話にならず、いつまでも自分の歯でかむ喜びを味わいたいなら、禁煙にチャレンジしてはいかがでしょう。(北大病院歯科診療センター講師)

投稿者: 藤村医院

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