歯科NEWS

2011.03.22更新

 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県南三陸町。自らも被災し、避難中の歯科医夫婦が県内の歯科医から往診車の提供を受け、避難所で治療を始めた。
 阿部公喜さん(53)と妻純子さん(56)は、海岸近くの歯科医院で診療中に被災。地震の直後、診療を中断し、すぐに避難した。医院も自宅も流され、今は町総合体育館の避難所にいる。
 県歯科医師会の呼び掛けで、同県栗原市の歯科医近藤公一郎さん(47)が、往診車を提供した。当面は薬や器具も足りず、応急措置しかできない状態だが、公喜さんは「着替えすらない状態。でも、自分にできることをしたい」と考えている。
 避難者らは満足に歯も磨けず、衛生状態が悪い。避難生活が長くなると、虫歯が炎症を起こしたり、うんだりする可能性が増す。また、高齢者は誤嚥性肺炎の危険もあり、口腔(こうくう)ケアは重要だ。今後、スタッフや道具がそろえば、夫婦で手分けして、他の避難所への往診も考えている。
 同県気仙沼市にある実家の歯科医院も被災した純子さんは「先は見えないが、一歩一歩がんばるしかない。最低限の薬と道具のめどが立って、少しだけ希望が見えてきた気がする」と語る。町の将来も、自分たちの未来も分からないが、夫婦二人三脚で先に進む決意だ。

時事通信 3月21日(月)14時21分配信



投稿者: 藤村医院

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