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2011.03.24更新

東日本大震災の被災地の復興に向け、県は、阪神大震災の経験を生かして「復興基金の創設」などを国に対して緊急提案したと発表した。一方、避難所などでの不衛生な生活環境が引き起こす恐れのある「震災関連死」を防ぐため、神戸市は、歯ブラシやデンタルリンス(水歯磨き)などの口腔(こうくう)ケア用品を仙台市に送った。県内では震災を経験したからこそ分かる必要な被災地の支援が進んでいる。

県の提案では、「阪神」の発生2カ月半後の4月、阪神・淡路大震災復興基金が創設され、被災地主体の復興に取り組むことができた経験を踏まえ、同様の復興基金を早期に創設する必要性を訴えた。府県を超えた広域的な被害が及んでいることから被災県を構成団体とする「東北地方復興広域連合(仮称)」を設立することも提案した。

また、地震によって住居が全半壊した被災者に対し支援金を支給する被災者生活再建支援制度の手続きを簡素化することや、被災した児童・生徒の心のケアに効果のあった復興担当教員の配置など6項目が提案された。

さらに、被災県としての教訓を生かすため「阪神」発生当時に創設された特例的制度の内容についても言及。住居が大きな損害を受けたり、世帯主が大けがを負ったりした場合などに支給される災害援護資金について、被災から16年を迎えた今も返還が困難な被災者が多いことから「制度の枠組みを見直したうえで東日本大震災で適用すべきだ」と強調した。

また、神戸市は市歯科医師会のアドバイスを受け、歯ブラシ約1万本とともに口をゆすぐためのデンタルリンス(水歯磨き)190本を支援物資として仙台市に送付した。

同市によると、震災で亡くなった6434人のうち圧死などの「直接死」は5512人。震災2カ月以内に死亡した「震災関連死」は922人で、そのうち最も多かった死因は「肺炎」(223人)。水の不足する避難所では口の中が不衛生になり、雑菌を含む唾液や食べ物が気管に入り込むことから生じる「誤嚥(ごえん)性肺炎」が起こりやすい状態になるという。誤嚥性肺炎の効果的な予防方法のひとつが、歯磨きやうがいなどの口腔ケアであることから被災地では口腔ケア用品が必要と判断した。

同市地域保健課は「避難所ではとくに、お年寄りの健康管理が重要。肺炎防止などの啓発にも取り組みたい」としている。


投稿者: 藤村医院

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